「痛み」と聞くと、骨・筋肉・関節だけの問題だと思われがちです。 しかし最近は、呼吸、姿勢、自律神経、ストレス、体の緊張の関係にも注目が集まっています。
特に横隔膜は、呼吸をするための大切な筋肉でありながら、姿勢の安定や体の力みとも関わりがあります。呼吸が浅くなると、首や肩に余計な力が入りやすくなったり、体が緊張しやすくなったりすることがあります。
この記事では、呼吸と痛みの関係について、注目されやすい5つの切り口に分けてわかりやすく解説します。
1.なぜ今「呼吸と痛み」が注目されているのか

最近、呼吸が注目されている理由の一つは、自律神経との関係です。自律神経は、体を活動モードにする働きと、休息モードにする働きのバランスをとっています。
痛みが続くと、体は無意識に緊張しやすくなります。すると呼吸が浅くなり、肩に力が入り、さらに体がこわばるという流れが起こることがあります。
ゆっくりした呼吸や横隔膜を使う呼吸は、体を落ち着かせるきっかけになります。もちろん、呼吸だけですべての痛みが治るわけではありません。しかし、痛みがあるときに体の緊張をやわらげる方法として、呼吸は取り入れやすいセルフケアの一つです。
2.浅い呼吸は首・肩の緊張につながりやすい

呼吸が浅くなると、胸の上のほうだけで息をするようになりやすくなります。このとき、首や肩まわりの筋肉が呼吸を助けようとして働きすぎることがあります。
本来、呼吸の中心は横隔膜です。しかし、緊張や疲れ、長時間のデスクワーク、猫背の姿勢が続くと、胸や肩で頑張って呼吸しやすくなります。
その結果、首こり、肩こり、背中の張りを感じやすくなる方もいます。「肩がいつも上がっている」「息を吸うと肩が動く」「深呼吸がしにくい」と感じる場合は、呼吸の浅さが体の緊張に関わっているかもしれません。
3.横隔膜は姿勢や体幹の安定にも関係する

横隔膜は、息を吸うときに下がり、吐くときに戻る筋肉です。呼吸のための筋肉ですが、体幹を安定させる働きにも関わっています。
たとえば、姿勢が崩れて肋骨が開きすぎたり、背中が丸くなったりすると、横隔膜が動きにくくなることがあります。横隔膜がうまく働きにくいと、腰や背中、首まわりの筋肉が余分に頑張る場合があります。
腰痛や肩こりがある方の中には、痛い部分だけでなく、呼吸のしやすさ、肋骨の動き、骨盤の傾きなどを見直すことで、体の負担を減らしやすくなることがあります。
4.痛いときほど「息を止めるクセ」に注意

重い物を持つとき、立ち上がるとき、痛い場所を動かすとき、無意識に息を止めてしまうことがあります。息を止めると、体に力が入りやすくなり、動きが硬くなることがあります。
痛みがあるときに大切なのは、無理に大きく動かすことではありません。小さく、ゆっくり、呼吸を止めずに動かすことです。
たとえば、肩を軽く回す、背中をゆっくり伸ばす、立ち上がる前に一度息を吐くなど、呼吸と動きを合わせると、体の力みを抜きやすくなります。痛みが強い場合は無理をせず、できる範囲で行いましょう。
5.家でできる簡単な横隔膜呼吸と注意点

横隔膜呼吸は、難しく考えすぎなくて大丈夫です。まずは楽な姿勢で、片手を胸、もう片手をお腹に置きます。鼻からゆっくり息を吸い、お腹が少しふくらむのを感じます。口からゆっくり息を吐き、お腹が自然に戻るのを感じます。
目安は、1回につき1〜3分程度です。長くやりすぎる必要はありません。大切なのは、強く吸いすぎないこと、無理にお腹をふくらませようとしないこと、息苦しさやめまいが出たら中止することです。
また、強い痛み、しびれ、力が入りにくい、胸の痛み、息苦しさ、発熱、けがのあとの痛みがある場合は、呼吸法だけで様子を見ず、早めに医療機関や専門家へ相談しましょう。
まとめ
呼吸と痛みは、直接つながっていないように見えて、体の緊張、自律神経、姿勢、体幹の安定を通して関係することがあります。
横隔膜を使ったゆっくりした呼吸は、体の力みを抜くきっかけになります。肩こり、腰痛、背中の張り、体のこわばりがある方は、痛い場所だけでなく、呼吸の浅さや姿勢にも目を向けてみましょう。
呼吸は、痛みを無理に我慢するためのものではありません。体を落ち着かせ、動きやすい状態をつくるためのセルフケアの一つです。痛みが続く場合や不安がある場合は、お気軽にご相談ください。



